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Limit battle/3章~色々~

第41話~訪問者~


アギトとのバトルを終え、心の何処かにあった嫌な思いが吹き飛んだ修は自分の部屋のベットで横になっていた。

修(目的を一つ消すと・・何か虚しくなるな・・)

彼は部屋の天井をただ見つめているだけだった――

ピンポーン―

家のインターホンが鳴る

修「誰だろう・・」

家にいるのは修一人だった為仕方なく起き上がり出る事にする

修「はい。」

ドアを開ける。そこにいたのは長身の金髪で黒い皮のジャケット・皮のズボンを身につけ、大きなサングラスをつけている

男が立っていた。

???「今日から隣に越して来た沢田 将士といいます。職業はミュージシャンをやっています。宜しく。」

修「あ、はい。宜しくお願いします。」

将士「それと・・佳山さん、あちらの方は彼女ですか?」

修「ん?」

彼は将士の後ろを覗く。

修「み・・美雪。どうした?」

そこに居たのは美雪だった。

将士「じゃ、俺はこの辺で。」

そのまま立ち去った将士。

修「で?何?」

美雪「酷いなー。久しぶりに来てあげたんだからそれは無いでしょー」

修「そう、まぁいいや。中入んな。」

美雪は修に連れられ家に入る。玄関で靴を脱いだ後、修は美雪をリビングに入れる。

修「今日は寒いからな。とりあえずココは暖かいからさ。」

美雪「なるほど。」

彼女は広いリビングを見渡す。修は台所で粉末タイプのレモネードを作り始める。

修「ほらよ。」

出来上がったレモネードを美雪に渡し、その後自分のエスプレッソを作りに入る。

美雪「修君の家って広いねー!」

無邪気に修に問いかける美雪。それにそうか?っと言う言葉を突き返す修。

美雪「そうだよ。普通の家に住んでる私からすれば広すぎだよ!」

修「あっそ。てか、お前財閥のお嬢様だろ?かなり裕福じゃん。」

美雪「そうでもないよー!」

修「へぇ。」


どうでもいい会話が続き、ふと思い出した事を言う美雪。

美雪「あ、そう言えばさっきの人!あの有名な”Rotary”ってロックバンドの人だよね!?」

修「俺にはわかんねーが、そうなの?」

美雪「うん!絶対そう!いいなー。修君の家の横にこんな有名な人が居て!」

結構凄い剣幕で修に顔を近づけて言う。

修「わ・・悪かった・・でも、少し離れろッ!」

美雪「あ・・ご、ごめん!」

少し重たい空気が流れる――


修「あ・・あぁ!そうだ!今日箱根に行こうと思ったんだけど一緒に来るか?」

美雪「あ。うん。行くよ。」

修「んで、今から行く?」

美雪「その前に私一回家に帰るね。」

修「なら、俺も着いてくよ。その方が早い。」

美雪「え・・でも、まだお姉ちゃんが家に居るけど・・。」

修「気にしないよ。」

話は着いた。2人は外に出て美雪がスープラに乗り込んだ。その時修は美雪のスープラの助手席に乗る。

美雪「アレ?エボじゃないの?」

修「あぁ。いいだろ?久々にお前の車だって。」

彼は少し照れた様な感じで窓の外を見て「ほら、早く行け!」と指示する。

美雪「うん。」

っと・・マシンを発進させようとした時、佳山家の隣の家・・そう。先ほどの将士の家から青いマツダスピードのフルエアロ

を装備したFDが出てくる。

修「あ・・あの車さっきの人のじゃね?」

美雪「きっとそうね。」

そっとギアに手を置く美雪―

車を発進させて美雪の自宅へ向う―


数十分高速道路を抜けてしばらく走行―すると、美雪の家に到着

修「な・・なんじゃこりゃ!?」

美雪「な、何!?」

修がビックリしたのは無理も無い。美雪の家の庭が広すぎたからだ。しかも、ガレージには白いアルテッツァと黒いマセラティスパ

イダー・黒いLEXUSIS-Fがおいてあったからだった。

修「お・・お前の家の方が広いしでかいじゃねぇかッ―」

美雪「そう?」

とぼけたような笑顔を見せる美雪。少し修はムカッとした。

美雪「あ・・お姉ちゃん。」

修「ど・・どうも。」

丁度2人がスープラをガレージに居れ車から出て来たところに美雪の姉が現れた。


第42話へ続く。


第42話~姉妹~


修と美雪とばったり出くわした美雪の姉―

見た目はかなり上品な女性だ。修は行き成りの登場にオドオドしてしまう。

美雪姉「あら?美雪ちゃ~ん?彼は彼氏ですかぁ?」

美雪「お姉ちゃんったら~」

2人が笑いながら話している姿が修には「姉妹だなぁ」と思った。

美雪「あ、修君。こっちは私の姉で瑞穂って言うの。宜しくお願いね」

修「宜しくお願いします。俺は佳山 修って言います。」

瑞穂「佳山ぁ?何処かで聞いたなぁ・・あ!もしかしてヨッシーの弟クン!?」

修「え・・ヨッシー?」

瑞穂「陽介よ!私中学から高校まで一緒だったの!」

修「陽介は俺の兄ですよ。へぇ・・瑞穂さんは兄さんと同じ学校だったんですか!」

瑞穂「そっかぁ・・ヨッシーは私に気があるかと思ったけど・・香苗に取られちゃったなぁー」

修「そ・・そうですか・・」

瑞穂「でさ!聞いてよ!ヨッシーたらね・・」

美雪「お姉ちゃん!どっか行くんでしょ!ほら早くッ!」

瑞穂「あ!合コン行くんだったぁ!」

修「・・・(汗」

美雪の姉、瑞穂は慌てて白いアルテッツァの方へ向った―

―と、何かを思ったのか修の方へ再び足を進める

瑞穂「そだ!修ちゃん!」

修(ちゃん!?)

瑞穂「今日の夜!静岡の岡部の奥にある”宇津ノ谷峠”のラブホテル廃墟で待ち合わせしましょ!」

修「え・・あ・・え・・?」

美雪「コラッ!お姉ちゃん!男の人を見て片っ端から逆ナンパするのやめてよね!」

瑞穂「あはは。いいじゃないいいじゃない!良い男をほっとくと女が泣くわよ!美雪ちゃん!アンタがほっとくと私が・・」

彼女はそういいながら修の肩に手を置いて顔を近づけて来た――!

修「え・・ちょ・・何をッ!?」

―すると、美雪のチョップが瑞穂の頭に当る。「痛い!」と言う声と共に頭を抑える瑞穂。

美雪「い、いい加減にしなさい!修君は私の―」

ッハと何か思い口を覆う美雪―

瑞穂「アレェ?私の?何?」

頭を抑えながらおちょくる瑞穂―

美雪「と・・とにかく!早く合コンでも何でも良いから行ってきなさい!」

瑞穂「おー怖い!怖い!行ってきマース!」

彼女は再びアルテッツァの方へ向かって行き、ドアを開けるとそこでまた―

瑞穂「美雪に修ちゃん!今お父様もお母様も居ないから好きな事し放題ねッ!」

再びおちょくる姉に対し、妹は近くに置いてあったスパナを持ち出した。

瑞穂「ご、ごめん!じゃ、行ってきマース!」

慌てて車に乗り込みエンジンを掛けて走らせて2人の視界から消えた―

嵐が過ぎた様だった―

美雪「お・・脅かせちゃってごめんね・・」

少しおろおろしながら言う美雪。

修「い、いいよ。別に・・それより、さっき俺が何だって?」

美雪「さ・・さァ!部屋に行きましょう!」

顔を赤くして仕切り直した彼女はスタスタと歩き始めた。

修(・・もしかして・・?)

何かを思いながらも美雪の後を追う。


~綾川家・美雪の部屋

修「お前の家の中もスゲェ広かったけど・・部屋も広いな・・俺の部屋の倍はあるぞ・・」

美雪「ホントに?修君の部屋も個性があったいいと思うなァ」

修「あの汚い部屋の何処がだよ!」

―2人は目が合って笑い始める

美雪「と・・所で、ホントにお姉ちゃんの所に行く気?」

修「え?あァ・・行こうかな。向こうは来て欲しいみたいだし。お前も居れば何の問題もないだろ。」

美雪「そ、そうね。あの女が修君に何かしようとしたら私が何とかすればいいものね!」

修「あァ。そうだな。」

美雪「そだ、箱根行くんだったね?」

修「あ。それだけどやっぱ良いわ。明日の下見・・っと思ったけどお前と居る方が楽しいわ。」

その一言に頬をカァッと赤くする美雪。

修「どうした?顔が赤ェぜ?」

美雪「そそそ・・そんな事無いよ!」

修「そ、そうか?」

ここでまた重い空気が漂う。

美雪「そだ!何処か行こうよ!」

修「そうだな。何処か静岡でいいと所あるか?」

美雪「そうね・・静岡峠何てどう?あそこは昼でも結構走り屋の人が居るわ。」

修「そうだな。行くか。んじゃ、行きは俺が運転してってやるよ。」

美雪「ありがとう。」

と、静岡峠へ向う事になった2人―


美雪の家を出ようと玄関に向った修と美雪。そこで靴を履いていた時、家の扉が開く―

美雪「あ、お父さんにお母さんお帰り~。」

美雪父「おう。今帰ったぞ。所でそちらさんは?」

修「佳山 修といいます。美雪さんの友達です。」

美雪(友達か・・)

美雪母「そうなの。娘の事宜しくね。佳山君」

修「はい。任せてください!」

美雪「さ、早く行きましょう!」

修「では、またいずれ。」

美雪の両親と別れガレージに向う修と美雪。修がスープラの運転席へと座る。

修「道を教えてくれよ。」

美雪「任せて!」

スープラのエンジンをかけ、軽くアクセルを煽りガレージを出る――


第43話へ続く。


第43話~狭い峠~


修は美雪を連れ美雪のスープラを運転し静岡峠へ向った。

美雪「あ、修君。そこのY路地を左で、その後の信号を右に行けばいいわよ。」

修「オッケー」

スープラは軽快に進んで行く―


しばらくして静岡峠の看板が見えて来た。

スープラは静岡峠へと潜入し、修のドライビングで峠を登り始めた。

修「ここか・・かなりテクニカルなコースだな・・」

美雪「うん。前に一回ここにバトルをギャラリーしに着たんだけど、凄く皆うまかったよ。」

修「へぇ・・そのバトルしてた車って?」

美雪「銀のS15シルビアと黄色いS2000だったよ。S2000の人は女の人で私それで走り屋に憧れたの!」

修「ふぅ~ん・・」

彼は素っ気無い返事で返し、そのまま峠を登り続ける。


修「スープラ結構良く走れてるよ。俺でもここまで操作できる。」

美雪「それは良かったわ!」

修「そんじゃ・・イッチョ頂上まで攻めるか!」

美雪「え・・ちょっと・待って!?」

慌てて近くの取っ手につかまる美雪。その瞬間にスープラはスライドをする!

美雪「キャァァッ!ちょっと!飛ばしすぎッ・・!!」

修「ハハハ!良いね!良いよ!スッゲェ走り易い!俺のエボドリフトし難い・・てか出来ねーからたまにFR乗るの

爽快だ!」

美雪「よ・・喜んでくれるのは・・嬉しいけど・・怖いわ!」

修「気にするなッ!何れこのスライドも快感に変わるさッ!俺はもう興奮しててお前相手にしてらんねー!」

さっきまでのツーンっとしていた態度が今じゃ子供の様にはしゃいでいた。

そのハイペースのまま頂上へと到着・・―


修「ふぃ~!さっぱりした!ここの峠って面白過ぎだぜ!空気も美味いし!」

美雪「そ・・そうね・・」

顔を青くして修の横でPA内の策にもたれ掛かっていた―

修「んだよ・・もっとシャキっとしろシャキっと!」

美雪「うん・・もうちょっと待ってぇ・・」

右手をヒラヒラと振る美雪―っと、そこへ頂上へ上がってくる車の音が聞えてくる。

修「ッお。地元の走り屋かな?」

テンションの上がっている修はそのマシンをワクワクしながら待っていた。

―車を確認出来た。

マシンは青いGC8クーペ。見た目はノーマルにただホイールを変えただけの外見だ。

GC8は良い音をさせながらPA内に入ってくる。

修「なぁ、美雪。あの人に声かけてみようぜ?」

ワクワクしながら美雪に聞く。

美雪「私の事はほっといて良いから・・声かけてくるさぁ・・」

彼女が答えた時には修はもう声をかけに走っていた。


修「あのーすみません。ここの走り屋さんですか?」

GC8の走り屋「え。あぁ。そうだけど。」

修「俺、阿神峠からちょっと遊びに来た者ですが、ここの峠って面白いですね!」

GC8の走り屋「そうだな。テクニカルでコーナー一つ一つも面白いからね。」

修「ですよねー!それに、このインプレッサも渋いですね!」

GC8の走り屋「そか?ありがとう!」

2人で話し込んでいると、気分の良くなった美雪が話しに入ってくる。

美雪「あの・・行き成り質問ですみませんが、ここの峠に黄色いS2000の女性をご存知ですか?」

GC8の男「え?黄色のS2000か・・多分知ってるな。」

美雪「本当ですか!私その人に会ってみたいです!」

GC8の男「そか、まってな連絡入れてやる。」

そう言って男は携帯で電話をかけた。


しばらく話して電話を切る。美雪と修の所へ向かって口にした。

GC8の男「今からは無理だって。それに、夏まで彼氏とイチャイチャしたいから夏休みならイーってさ・・あの糞女・・と糞野

郎め・・!」

修「そうですか。美雪。残念だったな。」

美雪「うん・・でも、いいや!修君とココに来れたし!」

修「そうだな。俺も楽しかったよ。」

GC8の男(こいつら・・もしやデキてる?ッチ・・どいつもこいつも・・)

修「んじゃ、俺らこの辺で失礼しますんで。また夏休み辺りに来ますね。」

GC8の男「お。あぁ。解ったよ。じゃな。」

修達は男とそこでお別れをした――


時間は過ぎ、修は美雪に送ってもらいランエボに乗り代え2台のマシンで美雪の姉が待つ宇都ノ谷峠へと向う。


~宇津ノ谷峠~

そこは標高170mと短い峠道だが、キャッツアイやコースの真ん中に幾つもポールが立っていて危険な峠。

頂上まで行くとトンネルがあり、そこを抜けると下り坂になっており上りと下りの複合コースになっている。

ちなみに、頂上のトンネルには幽霊が出るとの曰く付き・・

ココでバトルする時は上りから始め、トンネルを過ぎて下りに入り下り切った所でスピンターン。そこからまた戻りスタートした所へ

帰りゴールとなる。



修「ふぃ・・ココが宇津ノ谷峠かぁ・・マジキチガイな程走り辛いじゃん・・」

美雪「そうねぇ・・私もこんな峠初めて来たわ。」

2人はスタート地点となる場所で話していた。

修「じゃぁ、瑞穂さん待たせるのも良くないし、行くか?」

美雪「行く前に一つ!」

修「あン?何よ?」

美雪「あの雌狐・・凄く男に飢えてるから絶対にお姉ちゃんの誘惑に気をとられない事!」

修「え・・あぁ・・解った・・」

彼は美雪の真剣な目をマジマジ見れない。

2人は車に乗り込んで瑞穂の待つ廃墟へ向う。


第44話へ続く。


第44話~バトル・・?~


岡部方面から静岡方面へと向う修と美雪のスープラ―

修(・・それにしても・・美雪の姉さん・・結構大胆だったなぁ・・一瞬ドキドキしちまった・・)

心に思いながら車を走らせてコースを覚えて行く。

2台は上り始めて少しした急なS字コーナーを抜けた後の木材を沢山置いた工事現場を通り過ぎて周りが林になっているギャラリ

ーコーナーへ進入。このギャラリーコーナーは高速ヘアピンの連続で右左と抜けた後、例のお化けトンネルと言われる

宇津ノ谷トンネルが現れる。

修「うわぁ・・本当に出そうな雰囲気なトンネルだな、おい・・」

美雪のスープラも後ろから何も無く着いてきている。

このトンネルを抜けるとコースは下って行く。


2個コーナーを抜けると、1つのヘッドライトの明かりが見えてくる。

その明かりの見える所は瑞穂との待ち合わせ場所―ラブホテルの廃墟である。

修「ここか・・あの車は白のアルテが瑞穂さんのか。」

ランエボとスープラはその瑞穂のアルテッツァの横へと車を停めた。

美雪「お姉ちゃん、着たわよ。」

瑞穂「結構早かったわね。私もつい10分前に来たのよ?」

修「で、瑞穂さん。峠に来たって事は車のバトルをするんですよね?」

彼がそう言うと、瑞穂はニコッと笑いながら修に近寄ってくる。

瑞穂「ウフフフ・・車でのバトルよりもっと面白いバトルしたいんじゃない?」

修「え・・」

瑞穂「どうせ、美雪はヤらせてはくんなかったんでしょ?」

修「あの・・何の話ですか・・?」

瑞穂「だーかーらー・・イテッ!?」

彼女は急に声を上げた。美雪が瑞穂の頭を叩いたからだった。

美雪「お姉ちゃん!そう言う卑猥な事は控えてって何時も言ってるでしょ!」

瑞穂「何よー!アンタもしかしてヤキモチでも焼いてんの?」

美雪「そ・・そうじゃないけど・・!」

その美雪の反応を見るとすぐに話を切り出した瑞穂。

瑞穂「解った!じゃァ、私と修君がここでバトルをして私が勝ったら修君を1ヶ月!好きにさせてもらうわね!」

美雪「な、何言ってるのよ!そんなの駄目だよ!」

修(あのー・・俺の意見はァ・・?)

しばらく美雪と瑞穂の姉妹の口でのいい争いが始まった・・幾ら話してもキリが無いと思った修はこう言う・・

修「わかりましたよ!その賭けバトル引き受けます!」

美雪「ちょっと・・修君!?」

瑞穂「さーすが修君!話が解るゥ!」

修「で?バトルですがどうやります?」

瑞穂「えーっとねぇ・・スタートがこの下の静岡方面からでそのまま上り、岡部方面の麓でターンしてそのまままたこっちへ向かっ

てスタート。それで先にスタート地点のゴールに入った方の勝ち!」

修「OKわかりました。じゃ、最初上りからだから瑞穂さんのアルテッツァが先行で。」

コレでバトル条件とバトルのスタートが決まる。


2台の白いマシンがスタートの位置に並べられた。スタートは瑞穂が好きなタイミングで出た後、それを見て修がスタートして

開始されると言う訳だ。

バトル前に瑞穂と美雪がまた話していた。

瑞穂「美雪~。アンタそんなに修君が取られるの嫌なの?」

美雪「い・・嫌って訳じゃ・・」

瑞穂「フフ~ン・・顔に嫌って書かれてるわよ?」

美雪「うッ・・」

瑞穂「そろそろアンタから告っちゃえば?」

美雪「余計なお世話よ!」

彼女は不貞腐れて『フン』と言いながらアルテッツァから離れる。


そして、美雪がアルテッツァから離れて数十秒後、瑞穂のアルテッツァがスタートした!

修「スタートか。」

彼も合わせてスタート。

2台のテールライトが消えるまで美雪は心配そうに見守っていた―


最初の大きな左コーナーをアルテッツァはドリフトで、ランエボはグリップで攻めた!

アルテッツァはインを開けないようにドリフトでランエボのラインを潰す。

代わってランエボはグリップで攻めて居る中、ラインを潰されたがアルテッツァのフロントギリギリを行く!

修(瑞穂さん・・さすが美雪の姉さんだけあって走りは美雪をパワーアップさせた感じだな・・)

2台はコーナーをクリア。そして次はホテルの廃墟前の右コーナー。

そこでもアルテッツァはドリフトでランエボはグリップ。

瑞穂「やるわね・・ヨッシーの弟だけあって上手い!」

最初のコーナーと同じ様にランエボのラインを潰す瑞穂!

修「ッグ・・前に出るのはそんな簡単に行きそうもねぇ・・」

細かい高速連続コーナーをクリア。その先のトンネルへと入る2台!

ストレートスピードで修のランエボが一気にアルテッツァの背後に迫る!

修(コーナーでは前に出難い・・なら・・勝負は折り返しのターンだ!!)

力を込めてシフトアップをする修ッ―!


第45話へ続く。


第45話~姉妹の取り合い~


トンネルを抜け下りに入る宇津ノ谷峠―

その行き成り下る急勾配のすぐそこには連続の高速ヘアピンが続くッ―

下りに入った瞬間、瑞穂のアルテッツァは一気にペースを上げた!

修「な・・ペースが上がった!?さっきまでのは本気じゃ・・いや・・上りと考えればそうなるよな・・ッく!」

アルテッツァは高速ヘアピンをスイスイと軽快にクリアッ―

瑞穂「ほらほら!修君!勢い落ちてるわよォ!?」

アルテッツァは下りに入りランエボを引き離しに掛かるッ―

修「むぅ・・くそぉ・・こっちもタイヤ考えるより先に追い付く事を考えるッ・・か!」

彼もまた瑞穂に続きペースを上げた。

瑞穂「お、やっぱり来たわね・・そう来なくっちゃァ!」


2台は木材の置いてある工事現場まで来た。そこから先は大きなコーナーが3つあり、そこを過ぎて折り返し地点!

修「・・やってやるこの2つ目のコーナーだ!!」

ランエボから違ったオーラが流れ始める!

瑞穂「うッ?雰囲気が変わった・・?来るッ・・!」

ランエボは工事現場のコーナーが過ぎ、山林の次のコーナーで勝負に出た!

アルテッツァはドリフトで進入して来た―

瑞穂「コレなら・・ッて!?」

彼女の見た先には・・なんと、ランエボが横を向いていてアルテッツァの横を滑りながら入り込む!

瑞穂「う・・そ・・!?」

彼女は動揺してインを開けてしまったッ―

修「そこだッ!」

彼は半開のアクセルを全開にし、開いたインにランエボを滑り込ませる!

瑞穂「こんなとこ・・でッ!?」

アルテッツァのインを取りフロントノーズを前へと出しコーナーを抜け切った所で完全に前に出た!

瑞穂「うぅ・・やるわね・・でも、まだバトルは終わってないわッ!まだ後半もあるわッ!女の底力見せてあげるわ!」

しかし・・ランエボ速かった!アルテッツァをどんどん引き離す!

瑞穂「さっきまでのは何?!全然走りが違う!」

そんな事を口ずさんでいた瑞穂に対し、修は―

修(・・見よう見まねでドリフトしたが・・よくブレーキで出来たな・・)

完全に自分で思うようにやった訳じゃなく、ただ相手の動揺を誘う走りを下だけのようだ―

修「あそこか・・折り返しッ!」

2台は折り返し地点へと来て、修はサイドブレーキでエボを方向転換!

瑞穂も同じくサイドで方向を変える!

ランエボはサイドを使っての方向転換でかなりのロスをする―

勢いが落ちたまま折り返したが、持ち前のトラクションを利用しすぐにさっきまでのスピードを持続!

瑞穂「ッく!上りに入ったら・・勝ち目が・・」

スピンターンしその前に広がる光景に戦意喪失した彼女はアルテッツァのアクセルを抜く―


勝負が付き数分後美雪のもとに帰ってくる2台。

修「いやァ・・危なかった・・あそこでインを開けてくれなかったら後半まであったんだな・・」

美雪「でも勝ったんでしょ?よかったわ!」

瑞穂「キーッ!悔しいわ・・でも、また修君に惚れちゃった☆」

美雪「ちょ・・お姉ちゃん!!」

修(この話に入ると付いてケネー・・)

っと・・ここで瑞穂が行き成り言う。

瑞穂「貴方やっぱり修君の事が・・」

美雪「ッ――」

修「へ?」

瑞穂「あらら~。やっぱりそうなんね?美雪~ほらほらァどうするの?私が取っちゃうわよ・・」

彼女はススッーと修にくっ付き両手で修の顔を自分の顔に近づける・・

修「え・・ちょっと・・瑞穂さんッ・・!?」

瑞穂「私が貴方をも・ら・う・・☆」

彼女は口を近づけてくる―戸惑う修!

――と・・修の顔が行き成り反対の方向へと向き、美雪の口が修の口と合わさるッ―!


第46話へ続く。


第46話~箱根の戦~


修の唇を美雪の唇が重なる―

瑞穂「あらァ~熱いのねぇ~」

楽しんでいるようにも見える瑞穂の行動。

修(え・・美雪・・お前・・?!)

長い事修と美雪の口付けが続いた・・しばらくして美雪が口を離し、瑞穂にッキと鋭い視線を送り言う。

美雪「わ・・わわ分かった!?修君はお姉ちゃんの物にはならないわ!」

瑞穂「はいはい、諦めるわよ。目の前であんなに濃厚であつ~いキス見せ付けられたらねぇ~」

口を押さえて若干笑いながら答えた瑞穂。その時まだ修は放心状態で今起きた事を飲み込めずに居た。

美雪も頬を赤くして黙り込む。

瑞穂「いやァ!それにしてもバトル楽しめたよ修君!後、最後のキ・スも楽しかったわ!いい物魅させて貰いましたァ!」

彼女はケラケラ笑いながら修の背中をバンバン叩く。

修「そ・・そうですか・・・」

まだ放心状態の取れない修―

瑞穂「じゃ、今日は私帰らせてもらうねぇ~!お二人さん宜しくヤりなよ~!」

彼女はまたケラケラしながら車に乗って去って行った。

まるで嵐が過ぎ去ったかの様に鎮まり返った夜の宇津ノ谷峠――

残された2人はお互い顔を見せ合えなかった・・

修「・・・」

美雪「・・・」

このままダンマリの空気が10分もの時間が流れた―

修「あ、あのさ・・」

切り出した修に対し、体をビクッと反応させて頬を赤らめたまま聞き返す美雪

美雪「な・・何?」

修「・・その・・なんだ・・お前の気持ちに気付かなかった俺が悪かったな・・その・・ごめん。」

急に誤り出した修に呆然とした美雪・・が、その数秒後笑い出した。

美雪「あはは!誤る事なんかないよー!コレからも何時ものようにすれば・・なんて・・あんな事してそれは出来ないか・・」

修「・・じゃァ、俺は男だ。言わせて貰うよ。」

美雪「何?」

修「嫌じゃ無ければ・・俺と・・付き合ってもらえませんか?美雪さん。」

凛とした姿勢と眼で美雪を見つめる修―

美雪「え・・あの・・その・・えーと・・こ、こちらこそお願いします・・」

そう返事を返した後に頬をまた赤くした。しかし、その言葉を聞いた修は―

修「ホント!?嬉しいな!サンキュー!」

そう言って美雪に抱きついた。

美雪「ちょッー!?」

そのままランエボのボンネットに倒れ込んだ2人・・修は美雪と抱き合ったまま顔を見詰め合って・・笑った。

ボンネットの上でしばらく夜空に輝く無数の星を眺めていたのであった―


次の日―

修はニコニコしながら朝起きた。昨日の事がよっぽど嬉しかったのか?

部屋から出て階段を下りて1階のリビングへと入った。そこには珍しく休みの陽介と肩を並べてテレビを見ている香苗が居た。

陽介「おはよー。って?自棄に嬉しそうだな。何か昨日イイ事でもあった?」

修「んん~なーんもないよー。」

しかし、嬉しさは顔から取れていない。

陽介「なんだよ。気持ち悪いなァ。」

修「うっせーよ馬鹿兄貴!」

陽介「兄さんに向かって馬鹿とは何だ馬鹿とは!この生意気な弟めー!」

彼は立ち上がって修の頭をコネクリ回した。

修「うわー!止めろ!髪型崩れる!」

陽介「寝起きだから寝癖でごちゃごちゃでなんも変わるかー!」

2人は笑顔で居た。それを見て香苗も笑っている。

―と、修の充電中の携帯が鳴る。

修「誰だろう・・あ、栄治さんだ。」

電話に出た修は栄治と会話を始める。

修「もしもし?栄治さん。なんでしょうか?」

栄治『よう、おはよう。朝早くに悪いなァ。今日は特訓の日だ!』

修「いやいや、いーすよ。全然。今から行けとの事ですか?」

栄治『あァ、俺達チームの皆も早めの方がいいって事なんでな。』

修「分かりました。今すぐ着替えて・・兄貴に崩された髪型整えて行きますよ。」

栄治『あっはっははは!仲の良い兄弟じゃないか!分かった。待ってるよ。』

電話は終了した。

修「てな訳で、俺出かけてくる。」

陽介「そか。何処に行くんだ?」

修「箱根。」

陽介「箱根か!よし!俺も一緒に行くかな。」

修「はァ?!」

陽介「箱根には良い温泉があるから香苗と久しぶりに休暇を味わうにはもってこいだ!」

香苗「温泉かァ。良いわね!」

陽介「今週一週間休みだし、温泉旅行でもな!」

笑顔で会話する2人を見て修はッフとため息混じりの笑でOKを出す。


用意の出来た3人は車に乗り込んだ。修は勿論自分のランエボ、陽介は香苗と陽介のS15へ。

2台はガレージから爆音と共に出て行った


修達は2時間弱高速道路を走って、渋滞も何とか抜け箱根へと到着。

陽介「うー、久しぶりに来たなァ、箱根の峠。どだ?修。一本走って来いよ。」

修「そうだな。兄さんと香苗義姉さんはここで待っててくれ。」

と陽介達に言ってランエボを走らせた修は頂上へ向った。


修「へぇ・・結構リズミカルな峠じゃん・・!」

次々に来るコーナーを慣れないリズムに戸惑いながらもクリアして良く修のランエボ・・すると、後ろから多くの

エンジン音が聞こえた。

修「なんだろう・・?」

バックミラーに目をやる修。そこには先頭に白いGC8・・後ろに銀のR34、黒いスープラ、水色のS2000、銀のFDそして黒のR34

が一列になって修の後ろにくっ付いた。

先頭のGC8がクラクションを鳴らす。そう、栄治だった―


頂上に着いた7台は車から人が降りて来て会話を始めた。

修「栄治さん!」

栄治「よ!しさしぶり!」

雅道と夏弥は無口で、車に寄り掛かったまま目を瞑っていた。

勝也「修君!元気にしてたか!?俺は身体のそこからゴゴゴォッてアドレナリンが出るほど元気だぜ!」

修「げ、元気で何よりです。」

優「やァ、佳山先輩!姉貴から聞きましたよ!やっぱアンタ強いんだってな!」

修「そんな事無いよ~」

照れくさそうに言う修

葵「ハハハ。元気そうで何よりだ。僕も元気だったよ。」

修「葵さんも元気でよかったです!」

7人は色々な話題を持ち出しては楽しく話していた。


と、そこにまたかなりの数のエンジン音が聞こえて来たッ―


第47話へ続く。


第47話~戦・・開戦!~


DESTINYのメンバー、修はその多くのエンジン音の聞こえる方へと目を向ける。

そこに現れたのは・・赤い車の大群。

栄治「何だありゃ?いかにも芸術の範囲を超してる・・いや、下衆の塊は・・」

雅道と夏弥は目を開いて冷たい目でその車の大群を見ている。

優「うげぇ・・目が痛くなる・・」

葵「品が無い音や動きだ。」

勝也「うへぇ!先頭のスープラとかいかにも『気取ってます』オーラがビュンビュンドゴォーン!って出てるや!」

修(もしや・・)

彼の予想は的中した。赤い車の集団の中から人達が降りてきた中にあの”高野 光矢”が居た。

高野「おい、そこの見た事のない奴ら。誰に断ってこの箱根を走ってやがる?」

栄治「なんだ?公道にパスポートでもいるのか?ゴメンゴメン知らなかったよ。」

高野「ッケ!遊びで着たなら尻尾巻いて帰んな!ゴミ共はココに来ちゃ行けねーんだよ!」

と、重い口を開いた夏弥が鋭い事を言う。

夏弥「悪いが、ゴミにゴミと言われる俺達ではない。まず、お前達はなんなんだ?」

高野「俺らがゴミだと?貴様ら!俺はこの峠の最速だぞ!口を慎みやがれ!」

夏弥「本当の最速は自分の事を最速とは口が裂けても言わないな。お前らは下っ端の集まりだな。」

高野「舐めた口を・・!」

夏弥に殴りかかろうとする高野!しかし、DESTINYのメンバーは誰も止めようとしない。ましてや雅道は再び目を瞑る。

夏弥「・・ガッカリだよ。」

そう言い、高野の右ストレートをかわす。

夏弥「最速さんがそんなやり方で相手に勝つとは・・最速なのはその気が短くてキレる速さじゃないのか?」

その一言でDESTINYメンバーと修は笑い出した。

高野「ッぐ!ふざけやがって・・て、お前・・前あった事あるよな?」

彼は修に向かって言った。

修「あァ、あるぜ。アンタ俺に負けて逃げたよな?」

高野「あ・・アレはやる意味の無いバトルだったから途中で諦めてやったんだ!地元のココだったら負ける訳がねぇ!」

修「へぇ・・だったら、ココでアンタの速さ見せてくださいよ。」

完全に舐め腐ったような言い方だった。

高野「良いだろう!貴様後悔させてやる!でも、俺達だけじゃ楽しめないなァ・・そうだ、俺のチームから後2人だそう。

俺含めて3人だ。3対3バトルなんてどうかな?」

栄治「いいだろう。こっちからは修と俺と・・」

雅道「待て。」

と、さっきから一言も発していない雅道が喋り始めた。

雅道「リーダーが出る幕でもないだろ。ココは俺が行く。」

彼の言葉にDESTINYメンバーも『おぉ!!』と声が出た。

雅道「どうしようもない者にはそれなりにお仕置きと、己の器を分からせてやらんとな。」

彼は凄いオーラを放ちながら高野の眼前に立ちはだかった!

栄治「わかった、じゃァ、もう一人は俺が・・」

―クフフフフ・・・そのもう一人僕が引き受けましょう・・―

何者かの声がその場の皆の耳を過ぎる。

修「し・・城崎さん・・!?」

そう、彼の言った通りその声の主は”城崎 恭也”であった。

恭也「箱根の麓からジョギングで走っていたら面白い事になっていたのでね・・僕も参加させてもらってもよろしいですか?」

彼の一言で相手チームの全員が『貴様!裏切ったのか!』と言う声が連呼された。

恭也「クフフフ・・可笑しな事を喚きますね。僕はもう貴方達のチームを抜けたのですよ?」

高野「・・良いだろう。お前にも俺の本当の怖さを教えてやる!」

恭也「おー、怖いですねぇ。貴方の恐ろしく下手な走りを教えられるなんて・・」

高野「貴様ァ・・殺すぞ!!?」

栄治(俺の・・トリが・・また消された・・!)

修「じゃ、早速始めますか・・!」

恭也「僕は麓に車を停めて居るんで・・上りをやりますよ。」

高野「ふん。好きにしろ。俺がお前の相手をしてやる。おい、九条!お前があの34の相手をしろ!」

高野の呼んだ九条は赤いチェイサーに乗った男だった。

高野「で、瑠璃!お前があのランエボの相手をしろ!」

瑠璃と呼んだ女性は赤いGTOに乗っていた。しかし、彼女は何処と無くこのチームに似つかない感じだ・・


一通りのバトルのやり方が決まった。まず、上りを修と瑠璃、下りを雅道と九条、そして上りを恭也と高野に決まった!

この波乱のバトルはどうなるのか!?


第48話へ続く。


第50話~最終幕~


雅道の大声で周りが静かになって数十秒が立とうとした所・・

高野「っく・・お前・・誰に向かって説教ブッコイてんだ!?えぇ?おい!」

雅道「・・・貴様に俺が面を向かって言ってやってるんだ!お前みたいな奴が一つのチームの親玉だと思うだけで虫唾が走るわ!」

彼のこんな一面を全く知らなかった修は自分が高野になったかの様に焦っていた。

修(ま・・雅道さん・・怖い・・!)

雅道「それと、お前自身のテクニックを見てから物を・・」

続きを言おうとした瞬間、恭也が止めた。

恭也「ココから先は・・僕が彼に見直させてあげるので・・言わない方が彼の為です。」

雅道「・・・そうだな。俺は車でゆっくりしている。」

恭也「ええ。」

ニコッと不適な笑みを浮かべて笑い、高野の方へと向いた。

恭也「クフフフフ・・さぁ・・始めましょうよ・・貴方への地獄のラストランを・・クフフフフフフフ」

高野(なんだ・・コイツ・・?)

彼には見えた―計り知れない程の闘気が彼から溢れ出てくるのを・・

高野「い・・いいだろう!さっさと並べろ!」

恭也「さっき貴方が木内さんと口論してる間にもう並べてありますが?」

高野「う゛・・分かった!待っていろ!」

恭也「クフフフフ・・もう結構待ってますが・・」


すぐに高野の赤いスープラも並べられた。

高野がスープラの中から恭也をチラッと見た。すると恭也の不気味な細い目と合った。

その目はいかにも『さっさと行って下さいよ』とでも言っているかのようだった。

高野「ッく!」

スープラはホイールスピンしながらスタートして行った!バトルスタートだ!

恭也「クフフフフ・・」

彼のS15もスタート。

2台は最初の登っているストレートを駆け上がる。

そして、スタートが切れて緩い右コーナー!高野のスープラは白煙を上げながら緩いコーナーでもドリフトして行く!

恭也「・・やれやれ。阿神の頃から全く進歩の欠片も無い・・クフフ。」

彼はグリップでスープラのサイドへとフロントを近づけて行く!

高野「っへ!どうだ!このドリフト!お前なんかじゃ出来やしねぇだろ?!キャハハハハハッ!」

振り替えして左コーナーへ突っ込むスープラ!

恭也「クフフ、やれやれ。僕も貴方の望むべき勝負に乗ってあげましょう・・!」

と、左コーナーでスープラに続きS15も豪快にドリフト!もうD1並の白煙が回りへ撒き散らす!

高野「何!?俺と同じ角度・・いや、違う!」

コーナー立ち上がりでも滑っている高野に対し、恭也のS15は立ち上がりでは完全にグリップしていた!

高野「何故なんだ!?同じ角度、同じスピードで突っ込んでるのにアイツときたら・・何故グリップできる―!?」

スープラが立ち上がりで滑っていると、少しフロントの方が開いたのを恭也は見逃さなかったッ―!

恭也「さぁ・・こんなに速くては面白くないですが・・サヨナラ・・です!クフッフ☆」

S15のアクセルを思いっきり底まで踏んで加速―!

なんと、たった2コーナーでスープラの前へと出た!

高野「うぐ・・!こんなに早く終わるバトルなんてねぇ!」

彼は何とか立ち直したスープラをパワーで無理矢理S15の背後へと送り込んで来た!

恭也「シブトイ・・」

そして、ストレートが続き、コーナーが見える!

S15のバックライトは光る!が、スープラは減速しない!

高野「ヒャハハハ!死ねやぁ!!」

彼はS15へ衝突する気で居た!

恭也「やはり・・着ましたか!」

―S15は恭也の手によってコーナーに入る前に派手にスピン!コレは高野のスープラのせいではない!どうしてだ!?

高野「うわぁ!馬鹿が勝手にスピンしやがった!」

スピンして、自分方へノーズが向いてきたS15のヘッドライトが、スープラに迫る。その光は高野の目にも届いた。その

刹那、スープラのフロントギリギリをS15のフロントが掠めていく。

2台がちょうど向かい合う形だ。

スープラはS15がスピンしたことによって行き場を失い、コーナーへまっすぐに突っ込んでいく。高野はブレーキを踏ん

だが、スープラの重いボディは減速しきれず、高野はスープラのボディをガードレールにこすり付けて停止させる。

恭也はS15をそのままスピンさせ続け、上り方面へ再びノーズを向けて体勢を立て直し、コーナーで停まっているスープ

ラの横を悠々と駆け抜けて行った。

そのままS15は何事もなかったかのようにゴールへ飛び込み、高野は無様な敗北を喫するのであった。


第51話へ続く。


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